人は「意味」を求めすぎて、今を見失うことがある話。

「この経験に、意味はあるのだろうか」
「この人と出会った理由は、なんだったんだろう」
「なんのために生きてるのか、よくわからない」

──ぼくは昔から、なにかと「意味」を求めるタイプだった。
映画を見ても、本を読んでも、人と話しても
「これがどういう意味か」を考えてしまう。
なんなら、失恋すら
「この別れに意味があるはずだ」
と無理やりストーリーにしようとしてた。

そして、それを素敵なことだと思ってた。
だって、意味があると思えば
人生が物語みたいに感じられるから。
意味をつけることで、前向きになれたこともたくさんある。

でも最近、こう思うようになった。

「意味を求めすぎると、今が置き去りになる」って。

意味を探すことは、救いにもなる。

「なぜこんなことが起きたんだろう」
「この経験には、何を学べというメッセージがあるんだろう」

そう考えることで、
絶望の中から希望を見つけられた瞬間が
ぼくにはたしかにあった。
だからこそ、意味を探すことを否定したくない。

意味を探すことは、人生の灯りになる。
闇の中で、進むべき道を照らしてくれることもある。

でも、その光ばかりを追いかけていたら
足元の「今ここ」を見失うことがある。

何かを失ったとき、うまくいかなかったとき
人は意味を探しがちだ。
「これにもきっと、意味があるはずだ」
と、自分を励ますように。

でも本当は、意味なんて
「今すぐに見つけなくてもいい」のかもしれない。

悲しみの中にいるときは、ただ悲しめばいい。
無気力な日が続くならちゃんと休めばいい。

「まだ意味はわからないけど
いまはそういう時期なんだな」

そんなふうに、自分の今をそのまま抱きしめることも
立派な「生き方」だと思う。

時間が経って振り返ったときに
「あの経験があったから、今の自分がいるんだな」
と思える瞬間がある。

そのときに初めて、
意味って「過去に与えるラベル」なんだと気づく。

たとえば、ぼくがかつて本気で好きだった人に振られたとき
そのときは意味なんて一ミリも見えなかった。
ただただ痛かった。

でも今なら
「あの別れがあったから、自分の価値観が深まったな」
と思える。

意味は、「痛みを越えた先に見える景色」のようなもの。
無理に今すぐ探すものじゃない。

意味を探すばかりだと
「今」を感じることを忘れてしまう。

目の前の景色をちゃんと見てない。
目の前の人の声をちゃんと聞いてない。
目の前の気持ちをちゃんと受け取っていない。

意味を育てるためには
まず「今」をちゃんと生きること。
今ここで流した涙も、ふと笑ってしまった瞬間も
すべてが「意味を持つ未来」の土台になる。

だからぼくは、こう思うようになった。

「意味は探すものじゃなくて、あとから見つかるものなんだな」って。

今日、コンビニで買ったアイスが思いのほかうまかった。
仕事帰りに見た夕焼けが、心にしみた。
通りすがりの子どもがくれた笑顔に、ちょっと救われた。

それが、意味のある一日だったかどうかなんて
誰にもわからない。でも
「あ、なんかいいな」って心が動いたなら
それで十分。

人生は、意味の積み重ねじゃなくて
「感じたこと」の積み重ねかもしれない。

意味を信じることは、ぼくにとって大切なことだった。
だからこれからも、意味を探す癖はきっと続くだろう。

でも、意味に追い詰められそうになったら
こう自分に言ってあげたい。

「まだ意味はわからなくても、大丈夫だよ」
って。

意味があると信じるだけで救われることもあれば
意味がなくても、生きていてよかったと思える瞬間もある。

どちらも、ちゃんと人生だ。

だから、ぼくらは今日も
「意味のわからない今日」
を生きていい。

そしていつか
「あのときの今日が、あってよかった」
と思える日が来たなら
それこそが、本当の意味なのかもしれない。

意味を探しすぎて苦しくなったら
一度「今ここ」に戻ってみよう。

その瞬間に、心がじんわりと動いたなら
それがもう、十分な意味なんだと思う。

恩返しは、巡り巡って返せばいい。って話
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